2026年上演作品

泰山木の木の下で

作=小山祐士 演出=丹野郁弓

5月 三越劇場

瀬戸内海の美しい叙情と、時代の波に抗いながら必死に生きる人びとの哀歓をうたいあげる小山祐士氏の名作です。1963年初演いらい宇野重吉演出・北林谷栄主演により40年にわたって全国上演を重ねました。丹野郁弓の新演出、日色ともゑのハナ婆さん、塩田泰久の木下刑事で新たに生まれ変わったのは2019年三越劇場での東京公演。好評を得て翌々年から四国、九州、中国、東北、首都圏、長野県、中部北陸、神奈川県の各地を巡演してきた新演出版も145ステージを数えました。この度7年ぶりに三越劇場の舞台へ還ってきます。三越初登場となるマリオネット(湯淺隆さん・吉田剛士さん)のおふたりが奏でる哀愁のメロディにもご期待ください。

あらすじ

小さな汽船が行き来する瀬戸内海の小さな島。白い大きな花をつける泰山木。その木の下で質素に暮らすハナ婆さんは、貧しいながらも9人の子どもを産み、戦争中に優良多子家庭として表彰されました。しかし3人の子は戦死、のこる6人の子までも、広島の原爆で亡くしていました。思えば、殺されるために産んだようなものだ――。悲しい体験をもつハナは戦後、人助けのつもりで、頼まれると密かに子どもをおろしてやっていたのです。早春のある日、ひとりの男が泰山木のその家を訪れます。堕胎の罪でハナ婆さんを逮捕しにやって来た木下刑事です。御幸署へ連行する船中でハナ婆さんの話を聞く木下刑事も、また誰にも言えない苦悩を抱えていたのでした……。

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主な出演