原題=Danger: Memory! "I Can't Remember Anything" "Clara"
作=アーサー・ミラー 訳=丹野郁弓 演出=小笠原響
『セールスマンの死』『るつぼ』などでアメリカ演劇を代表するアーサー・ミラーが晩年(1986年)に発表した秀作の日本初演です。一幕劇二作で構成されており、二作はきわめて対照的でありながら「記憶」というキーワードで貫かれている点で一対を成しています。
『だって何も思い出せない』
裕福な未亡人レオノーラは毎日のように亡父の親友レオの家を訪ねてくる。ライフスタイルも政治的信条もまるで異なる二人は衝突するばかりだが、それでも頼る人間は他にはいないのだ。いろいろな記憶が失われていく今、二人は……
『クララ』
娘のクララが殺害された父親のクロールは刑事ファインに事情を聞かれている。クララは何故、誰に殺害されたのか。追及を受けるうちに、戦時中の記憶が不意によみがえる。過去が現在を照らし出し、封じ込めていたクロールの良心が解放される。