劇団民藝

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2024年上演作品

オットーと呼ばれる日本人

作=木下順二 演出=丹野郁弓

5月 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

 二十世紀最大のスパイ事件として国際社会を震撼させた「ゾルゲ事件」。戦前の日本において至難ともいえる戦争阻止の行為を貫こうとした男たちがいました。ゾルゲとともに活動した尾崎秀実の思想と行動を素材として劇化した木下順二さんの代表作。宇野重吉との結びつきのなかで生まれた本作は1962年に民藝初演。オットーの選択は私たちのいまに何を問いかけるでしょうか。このたびは木下戯曲5作目となる丹野郁弓の新演出で取り組みます。
 満州事変の勃発した1930年代初頭、新聞社特派員であるオットーと呼ばれる日本人は、上海でジョンスンと呼ばれるドイツ人と出会います。祖国をもたないドイツ人と、あまりにも日本人であり過ぎる男。数年後、東京へ戻ったオットーは日本の無謀な戦争の遂行を食い止めようと諜報活動に身を投じるのでした。そして太平洋戦争が一触即発という41年、今や中国問題の評論家として総理の信望と内閣への発言権を強めていたオットーが、ついに検挙逮捕され……彼が語る「正真正銘の日本人」とは。

主な出演