劇団民藝

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2019年上演作品

泰山木の木の下で

作=小山祐士 演出=丹野郁弓

12月 三越劇場

 小さな汽船が行き来する瀬戸内海の小さな島。白い大きな花をつける泰山木。その木の下で質素に暮らすハナ婆さんは、貧しいながらも9人の子どもを産み、戦争中に優良多子家庭として大臣に表彰されながら、3人の子は戦死、のこる6人の子までも、広島の原爆で亡くしていました。
 早春のある日、ひとりの男がその家を訪れます。堕胎の罪でハナ婆さんを逮捕しにやって来た木下刑事です。「魂の御楯として天子様に、お国に、お捧げせにゃァいけん」と次々と子どもを育てたハナでしたが、思えば、殺されるために産んだようなものだ――。悲しい体験をもつハナは戦後、人助けのつもりで、頼まれると密かに子どもをおろしてやっていたのでした。
 御幸署へ連行する船中でハナ婆さんの話を聞く木下刑事ですが、自身も原爆症のために不具の子どもを持つ身の上でした……。
 瀬戸内海の美しい叙情と、時代の波に抗いながらも遂には飲みこまれていく人びとの哀歓をうたいあげる小山祐士作品。北林谷栄主演・宇野重吉演出により、1963年初演いらい、民藝の代表演目として舞台上演を重ねてきました。このたびは丹野演出で、日色ともゑがあらたにハナ婆さん役を継いでいきます。

主な出演