2015年上演作品


東京公演

2月 紀伊國屋サザンシアター

ヒトジチ

作=ブレンダン・ベーハン 訳・演出=丹野郁弓


4月 紀伊國屋サザンシアター

冬の時代

作=木下順二 演出=丹野郁弓

主な出演=千葉茂則吉岡扶敏和田啓作塩田泰久

『夏・南方のローマンス』『白い夜の宴』につづく木下戯曲連続上演の第3作として、1964年民藝初演の『冬の時代』をとりあげます。時代は明治末期から大正のなか頃。幸徳秋水らの「大逆事件」をへた後の厳しい冬の時代に材をとり、来たるべき春の時代をめざして当時の知識人がどのように考え行動したか。「売文社」という不思議な場所に出入りする人びとを生き生きと描いたユニークな作品です。東京四谷に実在した売文社は編集長の堺利彦を中心とした、文字通り売文を業とする社でしたが、社員には大杉栄・高畠素之・荒畑寒村・山川均らがいました。劇中にはその他にも有名な、または有名でない実在の人々が登場します。ただし、実名ではなく渋六・飄風・ショー・ノギ・キリスト・不敬漢・二銭玉、エンマなど、名前を変えて登場し、不思議な人間模様を写しだします。

売文社の執務室。「へちまの花」の編集会議、忍術の本の依頼、広告原稿の作成などあわただしい仕事ぶりです。尾行巡査の張り番も何のその、時機を待つことが必要だという楽天家の渋六に社員一同、談論風発の態。「春三月、くびり残され、花に舞う」。恋愛事件もからみあい、やがては雑誌「新社会」の旗挙げ宣言を渋六の「奥方」が朗読して。さてさて売文社も新しい段階を迎えることになるのでした……。売文社は、苦難の、しかしみんな理想に燃えた時代の記念碑だったのです。


6月 紀伊國屋サザンシアター

クリームの夜

作=青木 豪 演出=山下 悟

主な出演=西川 明日色ともゑ飯野 遠

若い世代の担い手として、新劇や商業演劇で活躍目覚ましい青木豪氏の新作書き下ろしを上演します。名もない人びとのささやかな出来事に着目して、平凡な日常の影にひそむ事件や微妙な人間関係をリアルな会話で描いていきます。演出は『らくだ』『帰還』などの山下悟氏。

国道沿いの二階にあるスナック。閑古鳥の夜も多く、老人たちのために昼間カラオケ教室を開いている。経営しているのは蒲谷典子とその娘の琴音。カラオケの先生には、かつて演歌歌手だったという、どう見てもカツラの60代男。その今村の言葉が巧みなせいで、生徒もボチボチ。今日の生徒は三人。近くで木材屋を経営しているらしい笛木夫婦に、同じく70代の少しセレブな匂いがする大倉和美。カラオケに来るのに、一階にあるケーキ屋で買ったケーキを、いつも差し入れで持ってくる。「気取ってるわよねぇ」と陰口をたたかれるが、琴音は和美のことを快く思っている。母の典子は、彼氏いない歴が長い琴音のことを心配しているのだが、今村が余計な世話を焼く。見合いをさせようと言うのだ。乗ってしまったのは、笛木夫婦。甥っ子に良いのがいる、という。滅入る琴音は、ちょっと憧れていた和美に「結婚ってしないといけないもんですかね?」と漏らすのだが……。やがて和美による、琴音の見合いぶち壊し大作戦が始まった。


10・11月 紀伊國屋サザンシアター

大正の肖像画

作=吉永仁郎 演出=高橋清祐

主な出演=伊藤孝雄みやざこ夏穂塩屋洋子白石珠江河野しずか

新宿の有名な老舗中村屋。相馬愛蔵と妻良がパン屋の店をこの土地に移したのが明治も末に近い40年。急速に発展した新宿という地の利を得て店は栄え、美術家、詩人、小説家、学者、俳優などが出入りする文化サロンにもなった。 1910年代から20年代にかけての大正時代、この国では多くのすぐれた画家が輩出したが、そのうちまた多くが二十代三十代の若さで死んでいった。当時死病といわれた肺結核のためである。このドラマの中心人物である中村彝(つね)も十代後半にこの病に侵されながら画業に励み新進の画家として注目され、縁あって中村屋のアトリエに住むことになる。はじめそのサロンの女王相馬良に惹かれた彝の気持が、娘の俊子に移ったことから二人の関係がこじれ、やがて彝は中村屋を出て目白の近くへ移る。そこは病苦と孤独に耐え、死と引替えにして更なる高みを目指した苦闘の場であった。 彼らを取り巻くのは中村屋主人の相馬愛蔵。心友の彫刻家中原悌二郎、恋の葛藤を演ずる大杉栄、神近市子、盲目のロシア人エロシェンコ、家政婦の老女岡﨑キイなど、暗黒の昭和を目前にして薄日の差した大正の時代をさまざまに生きた人びとである。 『すててこてこてこ』『静かな落日』など評伝劇で定評ある吉永仁郎氏による期待の新作。


12月 三越劇場

根岸庵律女

作=小幡欣治 演出=丹野郁弓

主な出演=奈良岡朋子桜井明美中地美佐子

正岡子規の妹を描いた小幡欣治氏による民藝書下ろし第二作目の戯曲『根岸庵律女』を取り上げます。趣味人の遊びに堕していた俳句を、文学の域にまで高めたといわれる正岡子規。下谷の根岸庵を俳句革新の拠点とするのですが、結核性カリエスに侵され、35歳の若さで亡くなりました。そのあまりにも短い生涯を見つめながら共に生きた妹・律の半生を描いた傑作ドラマです。兄を虜にした俳句を「肺苦」と憎みながらも兄を敬愛し、その〝詩精神〟を支えた女性を、ユーモアあふれる暖かな目で感動的に描きます。

「律は強情なり、人間に向って冷淡なり、時に男に向ってシャイなり」と子規に悪しざまに言われながら、その兄を献身的に支えた律。二度結婚して二度離婚した律は26歳の時に兄の看病のために母八重とともに松山から上京、上根岸のうぐいす横丁で俳書類の下調べや口述筆記をしながら兄を支える。兄の死後、律は苦手で大嫌いであった裁縫を一生の仕事に選び、教師の資格をとって裁縫教室をひらくまでになる。正岡の家を継ぐべき養子をむかえるのだが、その子・雅夫にかたくなに句作を禁じる。それは兄の俳句を世に残すためだった…。


各地公演

『海霧』 原作=原田康子 脚本=小池倫代 演出=丹野郁弓

『黒い雨』 原作=井伏鱒二 上演台本=笹部博司 演出=丹野郁弓

『真夜中の太陽』 原案・音楽=谷山浩子 作=工藤千夏 演出=武田弘一郎


稽古場公演

『卵の中の白雪姫』 作=別役 実 演出=竹内照夫

ミュージカル・エレジー『銀河鉄道の恋人たち』 作=大橋喜一 演出=武田弘一郎