2012年上演作品
東京公演(2月・4月・6月・10月・12月)
2012年2月 紀伊國屋サザンシアター
静かな落日
‐広津家三代‐
作=吉永仁郎 演出=高橋清祐
2012年4月 紀伊國屋サザンシアター
マギーの博物館
原作=シェルドン・カリー 脚本=ウェンディー・リル 訳=吉原豊司 演出=高橋清祐
2012年6月 紀伊國屋サザンシアター
うしろ姿のしぐれてゆくか
漂泊の俳人・種田山頭火
作=宮本 研 演出=兒玉庸策
種田山頭火(明治15年‐昭和15年)は、30才をすぎて家業の造り酒屋が崩潰したのを機に家を飛び出し、全国を放浪しながら一万句以上の俳句を詠みました。俳句とは季語と五・七・五の定型律を踏んだ文学であるのに、山頭火は規律を無視し無季、自由律で俳句を創ったのです。山頭火の“生と死”を模索する道程が従来の俳句の方法では表現できなかったのでしょう。熊本県生まれの劇作家・宮本研氏は不器用で無頼な俳人山頭火をあたたかく描いています。代表的な戯曲に『ザ・パイロット』『明治の柩』『美しきものの伝説』等の作品があります。山頭火は黒い法衣に網代笠をかぶり、頭陀袋をさげ、杖をさし、左手に鉄鉢を持ち門口でお経を唱えている。少女が出てきて茶碗一杯の米を鉄鉢にあける。中年女が寄ってきて大根一本を頭陀袋に入れる。経を唱えながら歩いていくと遊女屋の二階から金が放り投げられた。今日の稼ぎはこれで充分だ。出家して以来の行乞は修行の一つなのだ。近頃、夢の中へ山頭火が子供のころに自死した母親の姿がよく現われる。そしてうなされる。夏が近づいて来た。みちのくを歩いてみるか。俳句仲間を頼って芭蕉の跡を訪ねてもいい。東北の仲間の家に妹のシズから手紙がきていた。妹も棄ててきた女房の咲野も放浪する山頭火を遠くでじっと見守っているかのようだ。俳句仲間に散々世話になり迷惑をかけたのち、秋風が吹くころ山頭火は南へ向って歩き出した。小旗を振って兵士たちを見送っている人たちの群れ。山頭火は人ごみを避けて道の片隅に佇む。
ふたたびは踏むまい土を踏みしめて征く
2012年10月 紀伊國屋サザンシアター
冬の花
ヒロシマのこころ
作=小山祐士 演出=兒玉庸策
瀬戸内の詩人と言われた小山さんには故郷、福山ちかくの瀬戸内海を舞台にした作品が多くあります。劇団の代表作の一つである『泰山木の木の下で』もそうでしたが、この『冬の花』も四百軒ほどの半農半魚の小さな島で物語は展開されます。戦後二十数年がたつのに未だ太平洋戦争の傷を背負いながら、美しい未来を想い描く人たち。小山氏の作品は他に『瀬戸内海の子供ら』『十二月』『二人だけの舞踏会』を上演しています。門田(もんでん)仙吉は新聞記者と軍の取材中、広島で被曝した。妻・公枝は危篤状態の仙吉を夫の実家へかつぎこみ、全身に突きささったガラスを抜きながら懸命に看病をした。10年近くの闘病生活を経て、二人は小さな洗(あろう)島(じま)にやってきた。仙吉は芋と麦しか採れない島の生活の貧しさをみかねて、花の栽培をすすめる。公枝は洋裁の仕事などでここでも夫を支えているのだが、戦争中、栄養失調で失った子供の悲しい想い、姑、小舅にかこまれた夫の実家での生活は忍耐そのものだった。解放したい欲求が渦まく毎日である。門田家に手伝いにきている皿山もんは、漁師だった夫が毒ガス工場へ徴用で引っぱられ、苦しみながら死んだ姿が頭から離れない。一人娘のみどりは減りつつある漁獲にもめげず独りで小型船を操っている。国立水産実験所所長の鈴岡は人工孵化の餌の研究に没頭している。彼には南京陥落に参加した過去がある。原爆孤児の太田は鈴岡のもとで瀬戸内海の生物資源の変化と睨めっこだ。太田はたくましく奔放なみどりに好意を抱いているのだが……。
2012年12月 三越劇場
満天姫(仮題)
作=畑澤聖悟 演出=丹野郁弓
主な出演=奈良岡朋子
関ヶ原の合戦を制し、群雄割拠の戦国時代にようやく終止符をうった徳川家康。世界まれにみる“長期政権”となった徳川幕府の要のひとつは、地方大名たちの“管理政策”の巧みさにあったともいわれています。よく使われたのが政略結婚です。北にシンパを求めた家康は、津軽藩二代目藩主、津軽信枚に養女を嫁がせます。その名は満天姫(まてひめ)。彼女は、家康の異父弟松平康元の四女で、慶長元年(1596年)八歳のとき家康の養女となったのでした。しかし信枚のもとに嫁いだ満天姫には思いもよらない過酷な運命が待ち受けていたのです。この作品は、『カミサマの恋』で、津軽からさわやかな笑いと涙をもたらした畑澤聖悟氏の民藝書き下ろし第2弾。青森放送の長寿番組、連続ラジオドラマ『卍の城物語』の作者として歴史分野への造詣が深い畑澤さんが、舞台では初となる時代劇にいどみ、再び奈良岡朋子と手を組みます。野望と裏切りにいろどられた波瀾万丈の満天姫の生き様にどうぞご期待ください。家康の養女、満天姫は、関ヶ原での功績を認められて五十万石の大大名になった福島正則の養嗣子、正行に嫁ぎますが、正行は乱行のため幽閉されて死去。離縁された満天姫は、身ごもっていた正行の子・直秀を実家で産みました。家康は二度目の政略結婚を企て、津軽藩二代目藩主、津軽信枚に満天姫を直秀とともに嫁がせます。しかし信枚は、すでに石田三成の三女辰姫を見初めて妻にしていたのでした。養女を嫁がせるという将軍家の申し出を断れる訳もなく、信枚は泣く泣く辰姫を離縁しますが、あきらめきれない彼はひそかに辰姫を上州に隠し、参勤交代の途中に逢いに行っていたのです。やがて辰姫との間に平蔵が誕生。信枚は我が子平蔵を跡継ぎにしたいと満天姫に懇願します。そんなころ辰姫が死去。満天姫は覚悟を決めて、平蔵を自分の元に引き取り養育することになるのですが……。
各地公演
静かな落日
‐広津家三代‐
作=吉永仁郎 演出=高橋清祐
カミサマの恋
作=畑澤聖悟 演出=丹野郁弓
白バラの祈り
ゾフィー・ショル、最期の日々
作=リリアン・グローグ 訳=吉原豊司 演出=高橋清祐
